競合他社との差別化や組織の統一、マーケティング効果や社員のモチベーション向上などが行える企業ブランディングは中小企業こそ行うべきことです。
しかし企業ブランディングがどのようなものなのかしっかりと理解していない方も多いでしょう。
今回は企業ブランディングの考え方と代表的な事例を7つ紹介します。
今回のポイント 1.ブランディングを行えば一貫性が生まれて顧客の信頼感を高められる 2.企業ブランディングや商品ブランディングなどブランディングは様々なものがある 3.ブランディングの効果が出るには時間が必要 |
企業のブランディング事例7選
ブランディングとは顧客に高い信頼感を持ってもらい、商品の購入は決まって同じブランドを選んでもらうことです。
例えば、スマホならAppleのiPhone、パソコンのOSならWindowsというように必ずこのメーカーのものを選ぶというものが1つはあると思います。
このように特定ジャンルにおいてブランドイメージを確立して、ファンの獲得を目指すのがブランディングです。
ブランディングは商品やサービスに限りません。
企業イメージはもちろん、採用や大学、地域など様々な部分でブランディングは活用できます。
ここではブランディングの種類と事例について見ていきましょう。

企業のブランディング事例
企業ブランディングとは、ブランド価値を高めることで「この企業のサービスなら利用したい」と思わせることをいいます。
多くの事例がありますが、ここでは「トヨタ」の企業ブランディングについて見ていきましょう。
「トヨタ」は高品質と高性能を徹底することで、自動車業界のトップに昇り詰めました。
「カイゼン」と称して生産性を落とさず人員を削減する工夫や在庫リスクの軽減などに成功しています。
この作業工程を改善する方法は「KAIZEN」として、世界中に広がり自動車業界以外でも多くの影響を与えており、高いブランド力を確立することに成功しました。
商品・サービスのブランディング事例
商品・サービスのブランディングとは競合他社にはない価値を創出して顧客ニーズを叶えることでファンになってもらうことをいいます。
ここでは商品ブランディングとサービスブランディングの事例を1つずつ見ていくことにしましょう。
商品ブランディングの事例で代表的な「翼をさずける」のキャッチコピーで有名な「レッドブル」です。
エナジードリンクはおじさんのイメージが強く、購入する若者は多くありませんでした。
しかし、レッドブルは「レッドブル、翼をさずける」というようにターゲットを主役にして応援メッセージを送ることで、日々刺激のある毎日を送っている若者に翼をさずけるという独自性のあるイメージを確立して若者に圧倒的な指示を得ています。
まさに商品ブランディングの好事例といえるでしょう。
サービスブランディングで代表的な事例が「スターバックス」です。
スターバックスではサービスの要であるバリスタの育成に力を注いでおり、アルバイトでも育成時間は80時間を超えるといわれています。
バリスタだけでなく、コーヒーの知識や入れ方、掃除などの教育にも時間を割くことで来店した顧客に最高のサービスを提供することを可能にしました。
広告の宣伝を行わずにサービスブランドを確立したともいわれており、サービスブランディングにおいて参考にするべき事例といえるでしょう。

採用のブランディング事例
採用ブランディングとは企業の採用において経営ビジョンや入社メリットなどを発信して求職者に魅力を伝えることで、ブランドを築いていくことをいいます。
代表的な採用ブランディングの事例が「マクドナルド」です。
「マクドナルド」では求職者を対象に「クルー体験会」を実施して、入社前にイメージを掴んでもらい入社後のギャップによる離職率の低下とアルバイトの定着率アップにつなげてきました。
中途採用者には社員インタビューなどを掲載することでイメージ回復にも取り組んでおり、採用ブランディングによって企業理解とキャリアップへの期待、就業における安心感を抱かせる工夫をこらしています。
大学のブランディング事例
大学ブランディングとは大学の特徴や特色を目立たせることで、学生が進学したいと思えるようなブランド力のある大学にしていくことをいい、ITや国際化など大学の強みをきちんと洗い出せることが重要です。
ここでは代表的な大学ブランディングとして「京都産業大学」の事例を紹介します。
京都産業大学では高校生に選ばれる大学になるようにブランディングを推し進めていますがただ推し進めるのではなく、フェーズを3つに分けて効果的なアプローチを行っていることで有名です。
興味を持つ時期には特設のWebサイトや広告でわかりやすく情報を発信し、認知やもっと知りたいと思う時期には教員の研究紹介などを行って志願したいという気持ちを高めています。
そして、出願する時期になったらダイレクトメールやパンフレットを通じてカリキュラなどを紹介によって出願を促進しており、大学の強みを理解した上で効果的に学生へアプローチしているブランディング事例といえるでしょう。
リブランディングの事例
リブランディングとはブランディングをやり直すことで、企業イメージを刷新して新しいブランドイメージを作ることをいいます。
リブランディングの事例と有名なのが「ヤンマー」です。
「ヤンマー」はディーゼルエンジンの小型化に世界で初めて成功した企業で、2014年まではヤン坊・マー坊の天気予報CMを流していました。
現在はリブランディングによって庶民的なイメージからエルメスのような企業イメージの変革に取り組んでおり、リブランディング後のブランドイメージを商品ブランディングやビジュアルブランディングまで落とし込んでいます。
商品デザインにはフェラーリなどを手掛けた奥山清行氏、ウェアデザインにはイッセイミケヤのデザインを手掛けた滝沢己氏を起用しました。
テレビCMや新聞広告なども活用して認知度をあげることで、庶民的なイメージから革新的なイメージへと刷新されつつあります。
まさにリブランディングにおいて参考にするべき事例といえるでしょう。

地域のブランディング事例
地域ブランディングとはその地域にしかないようなものを商品やサービスとして情報発信することでブランド認知してもらう手法です。
地域ブランディングを成功させた事例の1つが瀬戸内海に浮かぶ香川県の「直島」で、島内の空き家になった古民家をアーティストが作品として改修する「家プロジェクト」を行いました。
島暮らしをアートにすることで1992年には3万人程度だった観光客数を20年で66万人まで増やすことに成功しています。
BtoBでのブランディング事例
BtoBブランディングとは企業向けにサービスを提供している企業が行うブランディングです。
企業との取引においてはどのようなソリューションを提供しているかが重要になってくるため、BtoBブランディングにおいては、ソリューションの明確化が欠かせません。
コンピューター製品などを提供している「IBM」はソリューションを明確にすることで自社の期待感を高めて売上につなげていきます。
今回のまとめ
企業ブランディングの考え方と事例を紹介しました。
企業ブランディングを効果的に行ってユーザーにブランドにイメージを定着させることができれば大きな武器となりますが、浸透するまでには一定の時間が必要です。
そのため、一貫性を持ってじっくりと取り組んでいく必要があるため、簡単に変更できるものではありません。
今後の企業経営や戦略にも大きく影響するため、ブランディングを行う場合はイメージを明確にしておくことが大切です。