少数組織とは人員が少ない組織のことです。
少数で多くの業務をこなすことから、少数精鋭ともいわれています。
中小企業は少数組織にした方がよいともいわれていますが、なぜ少数の方がよいのか気になる方も多いでしょう。
今回は中小企業が少数組織にする理由やメリット、デメリットなどを紹介します。
今回のポイント 1.少数組織にすれば無駄を省いた経営が行える 2.少数組織の基本は「全員参加型経営」 3.少数組織は退職者が続出してしまうと致命的 |
中小企業が少数組織にすべき理由
中小企業が少数組織にすべき理由は「経営基盤がしっかりすることで多少の不景気ならば耐えることができる」からです。
少数組織とはいわゆる「小さい会社」という意味で、少ない人数で企業経営や業務を行っている組織のことを指します。
企業が経営を行っていく場合、大人数の方が業務を分散できるため1人あたりの負担を減らせることができますが、その分多くの人件費が必要です。
人数が多くなるほど各社員の能力に差が生まれますし、サボり癖のある社員であっても他社員と同様に給与を支払わなければならず、無駄な人件費となってしまいます。
少数組織であれば社員数が少ない分、優秀な人材を揃えることができますし、サボる余裕もありませんので無駄な人件費が発生しませんので、不景気になっても人件費で資金が圧迫されることがなく、リストラを行う必要がありません。
また少数組織で事業展開していく以上、合理的な事業オペレーションを構築していく必要があります。
そのため、不要な部分は外注することで、徹底的にコストを削減できるので余力も残すこともできるでしょう。

少数組織の基本は「全員参加型経営」
少数組織が経営を行っていく場合は、全社員のスキルを結集して経営していく「全員参加型経営」が基本です。
ここでは「全員参加型経営」について紹介します。
全員参加型経営とは
全員参加型経営とはビジョンの策定や計画の実行など業務プロセスを全社員の知恵やスキルを結集しながら経営を行っておくことです。
社員一人ひとりが経営方針やビジョンを理解したうえで取り組めるため、業務の中でみつけた修正点などを共有しやすく、柔軟に方針変更などの提案が行えます。
社員数が少なく社長などの経営陣と社員の距離が近い少数組織だからこそ、大きな成果を生み出しやすいスタイルとも言えるでしょう。
全員参加型経営の条件
全員参加型経営を実現するためには各社員の「自主性」が欠かせませんが、他にも様々な条件があります。
全員参加型経営の実現に必要な条件は大きく分けて次の5つです。
・全員参加型経営だと社員に説明している
・ルールを確立して社員もルールを理解している
・社長と社員に信頼関係がある
・目標の共有が行われている
・社員が社内での自身の役割を理解している
上記のように、社員に全員参加型経営であると説明したうえで目標の共有を行いながら、動機づけを行い、各社員に社内での役割を理解してもらう必要があります。
また意見や改善案を提示しても、叱られたり文句いわれたりすると社長と社員の信頼関係が瓦解して全員参加型経営は上手く機能しません。
そのため、社員に自発的な意見を求めるのであれば、相手の意見を尊重するなどコミュニケーションの活性化を図り、信頼関係を築く必要があります。

中小企業が少数組織にするメリット
ここでは中小企業が少数組織にするメリットを3つ紹介します。
それぞれの特徴を理解して今後の企業経営に活かしてください。
コストやトラブル削減になる
社員数を減らして少数組織にすることで、コストやトラブルの削減が可能です。
企業経営において1番かかる費用が人件費で前述のとおり、社員数が多いとそれだけ毎月の給料や交通費などでコストがかかります。
経営が傾いてきた際に、真っ先にリストラを敢行して社員の削減を図っていく点から見ても、人件費は大きな支出といってもよいでしょう。
前述のとおり、少数組織にすれば生産性の低い社員に人件費を割く必要がなくなりますので、結果として大幅なコスト削減が可能です。
社員数を増やせば、比例して問題のある社員も増えてしまい、トラブルやクレームが多くなりがちですが、少数組織であれば社員を厳選して十分な教育を短時間で行えますのでトラブルも削減できます。
トラブルが削減されれば、トラブル対応する必要がなくなりますので、社員は自分の業務に集中できる他、企業の信頼や利益にもつながるでしょう。
意思決定や運営のスピードが早い
決断までの意思決定や運営スピードが早いのも少数組織ならではです。
社員数が多いと意思決定や情報の伝達に時間がかかりますので、新しいことをはじめるにも多くの時間を費やしてしまいます。
新しいシステムなどを導入した場合にも、浸透するまでに時間がかかりますので、拠点ごとの運営スピードにもムラが生まれるかもしれません。
しかし少数組織であれば、意思決定までが早いため新しいことを取り入れやすく、スピーディーな運営が行えるでしょう。
機動力がある分、タイミングを逃すことなく時代の流れに乗ることができるためチャンスを取りこぼさなくてすみます。
人脈を広げやすく経営も学びやすい
積極的に外注することによって人脈を広げやすく、経営陣と近いため経営を学びやすいのも少数組織のメリットです。
少数組織は自分たちがする必要のない業務は、極力外注することが多いため、企業外の方とも積極的につながっていかなければなりません。
そのため、自社完結できる大組織で働いている方よりも少数組織で働いている方の方が人脈を広げる機会が多数あります。
また社長や副社長といった経営陣との距離が近いため、マーケティングやブランディングなどを間近で見て体験できるので経営に関することも学びやすいです。

中小企業が少数組織にするデメリット
ここでは中小企業が少数組織にするデメリットを3つ紹介します。
デメリットも知って自社に合った経営スタイルを目指してください。
1人あたりの業務量が多い
少数組織にしてしまうと1人あたりの業務量が多くなるため、忙しさや責任といった負担も大きくなります。
同僚も同じ量の業務を抱えていることも多く、相談などがしにくく残業や長時間労働につながりやすいです。
またいくら優秀な社員ばかりだとしても1人の業務量には限界がありますので、何でもかんでも受注しているとパンクしてしまいます。
そのため、理想とする人員規模と照らし合わせながら、受注先や事業は厳選するとともに外注なども活用しながら、業務量のバランスも考えなければなりません。
退職者が出ると業務が滞る
退職者が出て社員数が減ると業務が滞ってしまうのも少数組織のデメリットです。
前述のとおり、少数組織は1人あたりの業務量が多い分、1人でも退職者が出てしまうと業務の分散ができずに組織サイクルが崩壊してしまうリスクがあります。
優秀な人材を簡単に確保するのは難しいですし、人材育成にも時間がかかるため、少数組織といってもギリギリの人員で運営するのはおすすすめできません。
1人の退職で組織サイクルを崩壊させないためにも、ある程度人員に余裕を持たせておくことも必要でしょう。
人間関係で問題発生すると致命的
少数組織の場合、特に重要視されているのが「人間関係」です。
少数の場合は、社員1人あたりの影響力が大きいため人間関係で問題が発生すると、社員のモチベーションの低下につながり最悪の場合、退職者が続出してしまいます。
前述のとおり、1人の退職者でも業務が滞るリスクがある少数組織において退職者の続出は致命的です。
そのため、採用する場合はスキル以上に自社と相性のよい人材かという点を重視しなければなりません。
今回のまとめ
今回は中小企業が少数組織にする理由やメリット、デメリットなどを紹介しました。
少数組織であれば人件費を含めてあらゆる無駄を省くことができるため、合理的な経営が可能となりますので、社員の成長を促進しやすいです。
ただその分、1人あたりの業務量が多くなりますので、ITを上手に活用して業務負担を軽減できるような環境を整備しなければなりません。