リモートワークの普及にともなって一般化しつつあるのが、オンラインで商談を行う非対面営業です。
相手先に訪問する対面営業とは反対の位置づけにある営業手法ですが、両者の違いがわからないという方は多いでしょう。
今回は、対面営業と非対面営業の違いや非対面営業でも成果を出すポイントを紹介します。
今回のポイント 1.「リアル」か「二次元」かが両者の大きな違い 2.対面営業は信頼関係を築きやすい 3.非対面営業は営業業務を効率的に行える |
対面営業と非対面営業の違い
対面営業と非対面営業の大きな違いは「リアル」か「二次元」かの違いです。
対面営業も非対面営業もどちらもリアルタイムで商談するという意味では違いはありません。
しかし、非対面営業は映像を介して「二次元」で行われます。
「二次元」となることで、空気感や表情は伝わりにくく、臨場感も作りあげにくいため、今まで人間性を武器にしてリアルな商談を行っていた営業マンの場合、非対面営業では上手く成果を出せないという事態にもなりかねません。
これまでと同等またはそれ以上の成果を出すためには、対面営業と非対面営業の違いやメリット、デメリットを理解したうえで、上手に活用する必要があります。

対面営業とは
対面営業とはフィールドセールスともいわれ、営業マンが外回りを顧客や見込み顧客に何度も足を運ぶ「外回り」を行って商品やサービスを直接売り込んでいきます。
訪問営業や飛び込み営業など、人とリアルに会って商談を行う従来の営業手法です。
非対面営業よりも効率が悪く、コストがかかるといわれていますが、対面営業にしかないメリットも多く存在します。
対面営業のメリット
対面営業のメリットは「信頼感」を得やすく、関係を構築しやすいという点です。
関係を構築しやすい理由としては、リアルに顔を突き合わせることで、身振り手振りや表情をダイレクトに伝えやすくといった理由があげられます。
また、商品の実物やサービスの利用を持参して、実物を交えながら商談できるのも対面営業ならではの魅力といえるでしょう。
対面営業のデメリット
対面営業のデメリットは「効率の悪さ」です。
対面営業の場合、営業訪問にかかる時間は移動時間も含めて平均1時間~2時間ほどだといわれています。
1日の就業時間が8時間だとすると、多くても4~5件ほどしか訪問するができません。
また、移動に電車や営業用の車、タクシーなどを活用した場合は、交通費や維持費などのコストもかさみます。
相手に断れた場合には、これらの時間とコストは無駄になるという点も含めて、営業効率はよくありません。
非対面営業とは
非対面営業とはインサイドセールスともいわれ、国土面積が広く移動時間やコストが日本以上にかかるアメリカで広まった営業手法です。
営業効率を高めるために利用されはじめた手法で、インターネット環境が整備されている場所であれば映像と音声を介して営業することができます。
リモートワークなどの推奨で日本でも普及しはじめた営業手法ですが、電話やメールによる営業も非対面営業の1種です。
非対面営業のメリット
非対面営業のメリットはやはり効率のよさです。
オンラインで行う非対面営業であれば、相手先へ訪問する必要がないため、移動時間はもちろん、交通費はかかりません。
相手が遠方にいる場合は、宿泊費などのコストがかかりますが、非対面営業であればこれらのコストも一切不要です。
そのため、今まで移動時間に費やしていた時間を商談時間に割くことができ、1日あたり4~5件ほどだった商談件数を単純に倍にすることも可能ですので、効率よく営業を行えるでしょう。
非対面営業のデメリット
非対面営業のデメリットは信頼関係が築きにくいことです。
前述のとおり、非対面営業は映像と音声を介して二次元で行われますので、対面営業よりも表情や雰囲気などを伝えにくくなります。
営業マンの存在感も低下してしまうことから、信頼関係を築きにくくなり、商材の料金が高くなるほど契約を取るのが難しくなるでしょう。
また、実物を交えて商談を行えないため購買意欲を高められないのも契約につながりにくくなっている要因の1つとなっています。

非対面営業で成果を出すポイント
前述のとおり、同じ営業でも対面営業と非対面営業で特徴が大きく変化します。
そのため、営業効率がよいからという理由で、いきなり対面営業から非対面営業へ切り替えると、現場が混乱して思うように成果が出ないという事態になりかねません。
ここでは非対面営業でも成果を出していくポイントを紹介します。
営業方法と評価体制の見直し
営業方法と評価体制の見直しを図りましょう。
対面営業の場合は実際に会ってから信頼関係を構築して、ニーズの把握やプレゼン、商談を行っていましたが、非対面営業の場合は前述のとおり、信頼関係を構築しにくいです。
そのため、対面営業のコツを押さえながら、非対面営業に適した営業方法へ見直さなければなりません。
非対面営業に適した営業方法にすることで、成果をあげながら営業効率を高められます。
また、評価体制の見直しや環境の整備も行わなければなりません。
例えば、今まで対面営業で成果をあげてきた方が、非対面営業に切り替わったことで成果が出にくくなったとしましょう。
従来の評価体制だと不満が募ってしまい、退職などの人材流出に発展しかねません。
社員の不満が出ないように、評価体制の見直しや少しずつ非対面営業へ切り替えるなどの配慮が必要です。
営業マニュアルの策定
非対面営業は対面営業よりも個人業務になりやすいため、チーム意識が欠如しやすく、営業マンによって営業の質にバラつきが生まれてしまうでしょう。
営業マンの質を高めながら、企業全体で成果を出していくためには、営業マニュアルの策定が欠かせません。
営業の進め方をマニュアルとして可視化しておくことで、営業部全体の質を高められます。
また、営業マニュアルは営業で得た知識を取り入れながら、定期的に見直しを図ることも大切です。
CRMやSFAなどのITツールを活用すれば、顧客情報だけでなく営業ノウハウも社内全体で共有できますので、ぜひ活用してください。
シーンごとに営業手法を使い分ける
対面営業と非対面営業をシーンごとに使い分けるという方法もあります。
例えば、非対面営業で最初の商談を行って感触がよい場合や次回の商談話につながった場合は、対面営業で直接商談するなど使い分けは様々です。
ただ、対面営業と非対面営業で部署と担当者を分ける場合、協力体制を築いて商談進捗や商談結果などの情報をしっかりと共有しなければなりません。
共有できていないと顧客とトラブルになるなど、かえって営業効率化が悪くなってしまうからです。
社内全体で効率的に情報共有を行うためには、MAやCRM、SFAなどのITツールの導入も検討する必要があるでしょう。
まとめ
対面営業と非対面営業の違いと非対面営業でも成果を出すポイントを紹介しました。
同じ営業であってもリアルで会う非対面営業と、映像と音声を介したやりとりとなる非対面営業では、特徴も押さえるべきポイントもまったく異なります。
営業効率だけを考えれば非対面営業ですが、営業効率を重視した結果、成果が出にくくなったり、社内全体で連携が取れなくったりしては意味がありません。
営業効率を高めながらコスト削減を目指すためには、MAやSFA、CRMなどのITツールを導入し、効率よく顧客情報や案件状況を共有しながら対面営業と非対面営業を使い分ける必要があるでしょう。