最近、様々なサイトでチャットボットを導入されていることを見かけるようになりました。
ですが、チャットボットとは具体的にどのようなものかご存じでしょうか。
何時から、どのようにでき始めたのか、どのような仕組みを持っているのか気になりませんか?
今回は、チャットボットの歴史や種類についてご紹介していきたいと思います。
今回のポイント 1. チャットボットは「チャット(会話)」をする「ボット(ロボット)」 2. チャットボットの原型は1966年から存在した 3. チャットボットは大きく分けてシナリオ型とAI型の2種類ある |
チャットボットって何なの?
そもそも「チャットボット」とは何なのでしょうか?
チャットボットとは、「ユーザーから入力されたテキストや音声に対して自動応答するプログラム」のことです。
「チャット(会話)」をする「ボット(ロボット)」、縮めて「チャットボット」と考えるとその機能が想像つきやすいと思います。
昨今のホームページやECサイトの右下等の画面の端にポップしてくるアイコンを見たことはありませんか?
または「何かお困りですか?」などの言葉と一緒にチャット画面が表示されることがありませんか?
これがチャットボットの一例です。
最近では、このようなサイト上のチャット画面を問い合わせ用の窓口にしている企業も珍しくありません。
チャットボットの簡単な歴史
チャットボットが作成されてきた歴史はPCが使われだした時期から見ても古く、その初代として1966年に「ELIZA」が誕生しました。
当時の技術では、自動で相槌を打ったり、ある程度の要約をしたりする程度だったようです。
その後、登場したMicrosoftのOffice97の「Officeアシスタント」もチャットボットの1種といえるでしょう。
続いて、2011年になると、iPhone 4sの「Siri」という聞きなじみのあるチャットボットが登場しました。
文字入力だけではなく音声認識にも対応したSiriは当時とても話題になりました。
そして、2016年からはMicrosoftや、Facebook、Google、LINEなどの様々な企業からチャットボットサービスが提供されるようになりました。
この多くの企業がチャットボットへリソースを注いだこの時期は、この年がチャットボット元年とも呼ばれる要因です。
チャットボットへの関心を一気に強める起爆剤が投下されたことで、機械学習・人工知能(AI)技術の促進がされたことにより、さらに高度で精度が向上した応答のできるチャットボットが後に続けと次々と生まれてきているのが現在の状況です。
チャットボットの普及の背景には、技術の発達の他にも、ユーザー体験を重視する企業が増えてきていることも1つの理由として考えられます。
近年のユーザーは、LINEやSNS等のチャット形式の手軽でレスポンスが早いコミュニケーションに慣れています。
このようなコミュニケーションツールに慣れたユーザーからすると、電話やメールでの問い合わせは、手間やレスポンスの遅さから面倒に感じるポイントです。
チャットボットならば、チャット形式で気軽に質問をすればすぐに回答が返ってくるためストレスフリーで使用することが出来ます。
上記の様にチャットボットを使用することで、顧客体験を向上させて競合他社よりも満足度を上げようとしています。

チャットボットの種類について
チャットボットといっても分類すると様々な種類に分けることが出来ます。
今回はそんな中でも大きく分けた内の2種類、「AI(FAQ)型」と「シナリオ(ルールベース)型」について紹介していきたいと思います。
細かい内容は後で解説しますが、AI型は入力された質問に対してAIが返答を作成するタイプで、シナリオ型は選択肢を選んで回答に近づくタイプのチャットボットです。
種類によりますが、「チャットボット=AI」という訳ではありません。
上記の様にチャットボットには、AIを搭載していない種類のものもあります。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、特徴を理解して自社に合ったチャットボットを選ぶようにしましょう。

AI(FAQ)型の場合
AI型は、自然言語処理などのAI技術を活用し、ユーザーからのフリー入力に対して回答を出すことができるチャットボットです。
自然言語処理というのは、ユーザーの言葉を理解し、ユーザーが把握できる言葉で返答する技術のことを指します。
コンピューターというのは我々が使用している言語をそのまま使用しているのではなく、入力された情報をコンピューター言語に変換してから処理しています。
そのため何らかの齟齬が発生してしまう可能性があるため、自然言語処理というのは重要な技術だといえます。
AI型の特徴は、ユーザーが知りたい情報を直接たずねることが出来る点にあります。
質問内容が決まっていないので、シナリオ型よりも情報取得のスピードがあがります。
さらにAI技術により、質問内容の分析・解釈が行われるため、選択肢を選ぶシナリオ型よりもより高度・広範囲の問い合わせに対応できます。
使用を重ねていけば会話ログ等の顧客情報の収集が出来るので、時間をかけて学習を重ねれば、自然な回答も将来的に出来るようになっていきます。
そこまでいけばオペレーターまで行く質問などの案件が減ることで、業務の負担軽減やコスト削減に役立ちます。
AI型のデメリットとして、「シナリオ型に比べて費用が高額になりやすい」という点と、「精度の高い回答を提示するFAQは難度が高い」点の2点があげられます。
時間をかければ精度が高いFAQも出来ますが、そのためのメンテナンスには長い時間を必要とします。
また、AIを搭載していても万能ではないため、現状の技術ですと複雑な質問や長文の質問の対応が難しいと言わざるを得ません。
そのため、上手く活用していくには有人オペレーターと連携させる形で運用するといいでしょう。

シナリオ(ルールベース)型の場合
シナリオ型は、チャット画面に表示される選択肢からユーザーが問い合わせたい内容を選択していくタイプのチャットボットです。
シナリオ型は「ルールベース型」と呼ばれることもあります。
シナリオ型は、事前に登録した質問文とそれに対応する回答を使用して、ユーザーからの疑問に答えるのですが、シナリオという名前の通りに登録された内容から逸脱することはありません。
AIを搭載していない「人口無能」型とも呼ばれるタイプなので、想定外の質問には対応することが出来ないため、簡単な問い合わせ内容に向いているタイプといえます。
そのためシナリオ型が得意としている分野は、よくある質問・簡単なトラブルへの対応です。
あらかじめ、よくある質問とその回答のシナリオを作っておけば、よくある質問への回答が自動化出来るため、業務の効率化ができるでしょう。
他の使い方の一例として、サービスや商品に関して想定されるトラブルへの回答をあらかじめシナリオとして登録しておくということも出来ます。
上記でも触れましたが対応力が低いということは、チャットボットを使用しても満足いく回答が得られないという場合も考えられます。
シナリオ型の手間がかかる点は、ユーザーが使用して満足が行く結果にするために、綿密なシナリオ設計が必要になる所です。
シナリオ作成のためには時間がかかるため勘定に入れておく必要があります。

今回のまとめ
今回はチャットボットの歴史や仕組みについて紹介させていただきました。
チャットボットは現在様々な所で見ることができるアプリケーションです。
その歴史は意外と古いものです。
近年の技術進化により性能が向上してきて別物に見えるかもしれませんが、チャットボットはIT技術の黎明期より進歩してきたアプリケーションなのです。
チャットボットを導入することで人件費の削減や顧客満足度の上昇が見込めます。
まだ導入していない企業の方がいれば導入を検討してみてはいかがでしょうか。
