企業の内部では、毎日のように大量のデータのやり取りが行われています。
データの収集、蓄積、共有、分析、活用していくことは企業を発展させるためには必要不可欠のものです。
しかし、これらのデータは何も対策しないままパソコンに入っているだけでは、消去や漏洩の危機にさらされたままなので安全とは言えません。
操作エラーなどの人為的なミスやパソコンの物理的な欠損、落雷による被害、機器の盗難といったこれらのような危機は何時現れるのかは分かりません。
他にも外部からの違法アクセスやコンピューターウィルスによる攻撃なども考えられます。
これ等のリスクに備えてデータのバックアップをして業務に支障がない状態を維持しなければなりません。
しかし、「データバックアップ」と言いましてもその方法は正しいのでしょうか?
バックアップをする必要性とは上記のようにデータの維持だけなのでしょうか?
今回は、中小企業向けにデータのバックアップの必要性とその方法について紹介していきたいと思います。
今回のポイント 1. データバックアップは健全な企業活動のために必要な事 2. バックアップ先と保存場所は複数用意しましょう 3. バックアップを自動化しておくとコピーのミスがなくなります |
なぜ「データバックアップ」は必要?
まず、バックアップが必要な理由について確認しておきましょう。
企業活動の維持
上記でも述べましたが、データが消失してしまう可能性はどこにでも存在しています。
機器の故障や人為的ミスから外部からの攻撃、自然災害などリスク要因からデータを守る必要があります。
もし、データが損失してしまえば、現在の企業活動における業務内容には様々な面でデータが活用されておりますので、業務に支障が出てしまいます。
データを必要としない業務も中にはあるでしょうが、中には経営において致命的な情報もあるでしょう。
そのような事態に備えて常日頃からデータをバックアップしておくことでトラブルを避けることが出来ます。
企業の社会的信頼性とイメージアップ
企業内に存在するデータというのはその企業だけで完結しているものではありません。
取引関係にあった会社の情報や販売履歴、顧客情報、商品情報などもPCやサーバー内に保存されている場合があるため、万が一に情報漏洩が発生してしまったら、自社の情報だけではなく他社の情報まで漏洩している可能性があります。
そうなってしまえば会社に対する信頼やイメージがダウンしてしまいます。
そのため、データバックアップをして、情報セキュリティの確保や管理体制の強化を外部に示すことは会社に対する社会的信頼の上昇とイメージアップにつながります。

バックアップ方法について紹介
データの保存先は使用頻度やバックアップの頻度に合わせて選択する必要があります。
しかし、自動的にバックアップする機能がついていない保存先の場合だと人為的なミスが発生する可能性があるので注意が必要です。
また保存先の数も重要です。
保存先が少ないと何かトラブルが発生した時に不安が残るため、複数用意しておきましょう。
では、バックアップの方法や保存先の数・種類について見ていきましょう。
「3-2-1」ルールとは何?
確実にデータをバックアップする方法と言われる「3-2-1」ルールを紹介します。
データは3つに保存
まず、元のデータ1つとバックアップしたデータ2つ、合計3つのデータを保持します。複数のデータがあれば、情報漏えいのリスクを最小限に抑え、迅速な復旧が可能になるからです。万が一トラブルが起きたとしても、完全にデータを消失してしまう事態は防げるでしょう。
2つは異なる媒体で保存
データを保存する際は、最低でも2つの異なる媒体でバックアップを保存しましょう。異なる媒体に保存することによって、ストレージの破損や寿命で同時に複数のデータを失うリスクを防げます。読み書きの処理速度やデータの蓄積容量、耐用年数などを事前に把握し、管理・運用を徹底することがポイントです。
1つは遠隔地で保管
すべてのデータを1ヶ所で保管していると、災害によって複数のデータを同時に失ってしまうリスクがあります。1つは物理的に離れた場所で保管する、あるいはクラウドストレージを活用してオンラインで保存しましょう。
この「3-2-1」ルールを守ることで、データ損失のリスクを大幅に低減することができます。さらにリスクを低減するには、もう1つデータを用意して、オフラインで保存することをおすすめします。4重の対策を行えば、災害時やシステム障害時でも事業に影響が及びにくくなるでしょう。

バックアップデータの保存先の媒体には何がある?
バックアップデータを複数の保存する、保存場所を分ける。
このようにリスクを分散させることで万が一に備えておきましょう。
では、このデータのバックアップを保存するための媒体には何が適しているのでしょうか。ここでは代表的なバックアップの保存先について紹介します。
外付けHDD・SSD
外付けHDD(ハードディスクドライブ)とは、データやプログラムなどを電磁的に読み書きする記憶装置です。SSDと比較して1ドライブで保存できるデータ量が大きく、容量単価が安価であるなどの特長があります。構造的に衝撃に弱い点、また消費電力が比較的大きい点はデメリットでしょう。
一方、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)は大型のUSBのようなもので、半導体素子メモリを使用した記憶装置です。衝撃に強く、発熱・消費電力が少ない、読み書きが高速でできる、静音、小さくて軽いなどの特徴があります。一方、容量が少なく、容量単価が高い点はデメリットです。
このように、それぞれメリットとデメリットを併せもっているため、用途に応じて使い分けたり併用したりすると良いでしょう。
クラウドストレージ
クラウドストレージは、サービス事業者がサーバーを管理しています。
サーバーが外部にあれば社内での機器の破損や故障にデータの保全が左右されることはありません。
そのためバックアップデータの保存先の有力な候補と言えます。
またクラウドストレージにはインターネットが使えるデバイスならばアクセスすることが可能なので、データの共有や利用が容易になります。
クラウドサービスには、自動的に、時系列順に、履歴が残る機能をもったサービスもあります。
もし誤ってデータを消した場合もこの機能があれば、データを復旧させることが出来ます。
しかし、上述したようにインターネットが使える環境ならばアクセス出来るということは、逆を言えばインターネットが使えない場合はデータを引き出すことが出来ません。
そのためバックアップは外付けHDD・SSDや次に紹介するNASのようなネットに接続する必要のない媒体にも保存しておきましょう。
NAS
NASとは、「Network Attached Storage」の略称です。
意味としては「ネットワーク接続ハードディスク」となります。
これはパソコンと1対1で接続されるのではなく、ネットワーク接続型なので、パソコンが故障してしまった影響などがデータに及びにくいことや社内ネットワークで共有しやすいという点が特徴です。
社内ネットワークで完結しているため、インターネットに接続できなくなっても利用することが出来ますし、外部からの不正アクセスに強いという特徴もあります。
このように、それぞれの媒体にはメリット・デメリットが存在するため、複数種類の保存先を用意すると安全性を高めることが出来ます。

いつバックアップした方がいいの?
バックアップするタイミングや頻度についても触れておきます。
バックアップするには手動で行うか、自動化するという方法があります。
手動で行うとミスが発生する可能性があるので、自動化できるならばしておいた方がいいでしょう。
一部のサービスでは誤って削除した場合や上書きしてしまってもデータをさかのぼる機能がついているものもありますので安心です。
頻度に関しては、保存と保存の間が短ければ、トラブルがあった時に復旧までにかかる時間が短時間で済みます。
しかし大容量のデータを短期間に保存を繰り返すというのは機器に負担がかかり、難しい部分があるため、データや媒体に合わせることが出来るならば会わせましょう。

今回のまとめ
今回はデータのバックアップの必要性とその方法について紹介させていただきました。
データが消失してしまうというリスクはどこにでも潜んでいるものです。
健全な企業活動のためにも、社内で保存先や方法をじっくり話し合ったうえで、バックアップを用意しておきましょう。
データを直接扱う従業員だけではなく、経営陣もバックアップの重要性をしっかりと理解して、社内全体に意識づけを行うことで、安全性を意識して向上させていきましょう。
